楽天株式会社 グループ情報システム部の役割

「楽天グループ全体で、お問い合せ対応コストを35%削減できました。業務の効率化に加えて、購入を促進させるサポートサービスのあり方も見えてきました」楽天株式会社 グループ情報システム部 開沼広樹氏
「楽天グループ全体で、お問い合せ対応コストを35%削減できました。業務の効率化に加えて、購入を促進させるサポートサービスのあり方も見えてきました」
楽天株式会社 グループ情報システム部
開沼広樹氏

現在、楽天グループでは40に及ぶ事業を運営しております。グループ情報システム部は、それぞれの事業と横断的に関わり合い情報活用を促進することで、グループ全体の業務効率化やサービス品質の向上を図る役割を担っています。

グループ情報システム部の重要なテーマの1つが「楽天グループ全体の顧客満足の最大化」です。「EC事業」「証券事業」「トラベル事業」などの各事業は、それぞれが個別の事業会社でもあります。楽天グループに加わる前から、独自のやり方を培ってきたケースも少なくありません。

個別の良いやり方は継続していく一方で、グループ内でのサービス品質のレベル差を無くしていかなければなりません。お客様は、どのサービスを利用したとしても「楽天で買った」と思います。ですから、もし1つのサービスでお客様に失礼な対応をとってしまうようなことがあると、それは楽天グループ全体のブランドイメージに影響を与えてしまうのです。

(参考:楽天グループの事業)
楽天市場:http://www.rakuten.co.jp/
楽天トラベル:http://travel.rakuten.co.jp/
楽天ブックス:http://books.rakuten.co.jp/
楽天グループサービス一覧:http://www.rakuten.co.jp/sitemap/

RightNow CX の導入ステップと、現在までの導入成果

お客様サポート業務を担うシステムとしてRightNowCXを導入したのは2007年10月でした。RightNowのようなクラウド型のサービスでは、小さく始めて効果を確認しながら利用範囲を拡張できるのが大きなメリットです。そのメリットを生かし、それから約3年間かけて、以下のようなステップでグループ内に浸透させてきました。

【STEP1:導入期(2007年10月~)】
・ 候補となったソフトウェアの中からRightNow CXを選定。
・ 実績を作るために、特定の事業から活用をスタート。
            ▼
【STEP2:活用事業の拡張期(2008年5月~)】
・ 先行事業での実績をテコにして、活用事業を順次拡大。
・ 先行活用の中で掴んだKPI(Key Performance Indicators)のグループ内共通化。
            ▼
【STEP3:機能の拡張期(2009年4月~)】
・ 各機能(サーベイ/モバイル/チャット)を順次追加導入。
・ RightNow CXの活用目的が「コスト削減」から「顧客満足の維持向上」へとシフト。
            ▼
【STEP4:さらなる活用に向けて(現在~)】
・ ビジネスプロセスへの浸透と情報連携の促進
・ ソーシャルメディア対応や海外展開など活用分野の拡大

数値で表される成果としては、下記のようなものが挙げられます。これらの指標が示す通り、お客様サポート業務の効率化にRightNow CXは大きく貢献しています。

〈RightNow CXを導入した事業全体での定量的指標の変化〉

【1日あたりのお問い合せ件数】…約40%削減

【お問い合せ1件あたりの対応コスト】…約35%減少
※対応スタッフの人件費やシステム運用費、外注費等を勘案して算出

【お客様対応の生産性】…1.7 ~ 2倍に向上
※生産性指標としてMPH(Mail Per Hour):1時間あたりのメール応対数を採用

またRightNow CXの貢献は、いわゆる「コスト削減」の面だけではありません。

RightNow CXを用いたさまざまな分析を通じて、グループの顧客満足に向けた取り組みを測定・評価・コントロールするために適切なKPIを見出すことができました。今では、各事業におけるRightNow CXの運用責任者を集めて毎月会議を行うようになりました。RightNow CXから導き出されたデータや知見が、統括部からの発信やディスカッション、品質向上のための新たなアイデアなどのベースになっています。

現在のRightNow CXは、楽天グループにとって「顧客満足を高めるPDCAサイクルを回すエンジン」であるといえます。

導入期:RightNowCX を選んだ理由

では、先述の「STEP1:導入期(2007年10月~)」から説明します。

それ以前までは、各事業によってお客様対応業務のプロセスやルール、使っているツールがバラバラでした。それをグループで統一化させることで、業務の効率化はもちろん、問い合わせへの対応スピードや品質も底上げしたいと考えていました。

そこで統一化のためのツールとして4社の候補製品を比較し、RightNow CXを選びました。

主に、下記のようなものが理由として挙げられます。

  • 信頼性:大規模なサポート窓口の運営にも耐えられる、システムとしての堅牢性や豊富な導入実績があること
  • 利便性:お問い合わせ内容やメールでの回答文を、ヘルプページに新規Q&Aとして登録したり、そのままオペレータがナレッジとして利用できるなど、ナレッジを活用したサポート業務をシームレスに連携できること
  • 高度な解析機能:お客様の問い合わせ文面を解析し、瞬時に提案回答を表示する(スマートアシスタント機能)ことで、自己解決率の向上が期待できること
  • 拡張性:いわゆる「FAQツール」にとどまらない、マルチチャネルの問い合わせ対応、リアルタイムのサーベイ機能、豊富なレポートなど、お客様対応に関するさまざまな機能を備えており、「効率化」の先にある「顧客満足向上」を目指す上でも有用であること

今まで各事業で自由に行われていたサポート業務について、統括側から「こうやりなさい」と押し付ける形になってしまいます。慣れ親しんだやり方を変えるのにはエネルギーが要りますし、「本当に役に立つのだろうか」と疑問や抵抗を持つ事業が出てきてもおかしくありません。そこで楽天の中核事業である市場事業で先行的に導入し、納得できるような実績を作ってから、各事業へ展開させていこうと考えていました。

活用事業の拡張期:「件数」と「分散」で優先順位を決める

市場事業での先行導入の結果、RightNowCXは期待通りの働きをしてくれることが明らかになりました。お客様のWebセルフサービスによる自己解決率は上昇し、お問い合わせ件数も削減していきました。そこで、順次他の事業にも導入を拡げていくことになりました。

残りの全ての事業について、同時期に導入プロジェクトを進めることが、当時は業務上困難でした。そこで、効果が見込めそうな事業から導入させていこうと考えました。効果が見込めるかどうかは、たとえば以下のような視点で検討しました。

〔お問い合わせの「件数」〕
→件数が多い事業ほど、RightNow CXを導入することで業務の省力化が見込まれる。

〔お問い合わせの「分散」〕
→お問い合わせ内容の分散が小さい(特定の質問が多く寄せられる)事業ほど、「よくあるご質問」を設定したときの効果が高く見込まれる。

効果の見込まれる事業から導入させていくことで、各事業のサポート部門の横のつながりの中でも、RightNowCXの効果が口コミでも広まっていきました。横展開はスムーズに進んだといえます。実際にはブックス事業やゴルフ事業などは2007年のうちに導入してしまいました。2008年5 ~ 6月のタイミングでは10の事業がRightNowCXを導入しました。

また、このタイミングで「グループ共通のKPI(KeyPerformance Indicators)」を設定しました。RightNowCXを導入すると、問い合わせの傾向やオペレータのパフォーマンスなど、非常に多くの情報が見えるようになります。しかし測定指標が多すぎてはがんじがらめになるだけで逆にコントロールできなくなります。グループ全体のサポート品質を高めていく際に追いかけていくべき、重要な指標はどれか。先行事業で検証を重ね、指標の絞り込みを行いました。それが例えば先述の「1日あたりの問い合わせ件数」や「MPH」、さらには「自己解決率」や「初回解決率」、「時間内対応率」などです。

KPIの共通化は、統括部サイドの管理面でメリットをもたらすだけではありません。各事業に所属する担当者同士が「共通の数値」「共通の視点」「共通の目標」を共有できるため、事業間のノウハウ共有やコミュニケーションの品質を高めることができました。数値での表現は難しいことですが、グループ全体の知恵を高めていく上では重要な成果だと考えます。

機能の拡張期:「業務効率化モード」から「顧客満足向上モード」へ


“もしフィードバックが無ければ「問い合わせ件数が減ったから良しとしよう」と、そこで進歩が止まっていたと思います”

2009年4月に、RightNowフィードバックを追加導入し、各問い合わせが解決したタイミングでリアルタイムにサーベイ(対応品質をご評価いただくアンケート)を送信する、トランザクション・サーベイ機能を使い始めました。Webセルフサービスや問い合わせ対応はお客様の立場から見ると「疑問が解決する前、入口」の部分になりますが、トランザクション・サーベイは「疑問が解決した後、出口」の部分になります。

トランザクション・サーベイ機能を使ってみて初めて、「入口と出口をおさえることの重要性」を痛感しました。直接お客様から対応品質についてのフィードバックをいただくことで、多くの事に気づきました。

グループ全体を通じて「楽天ファンを増やす」ということは重要な使命です。ところが、特にインターネットサービスは、1人1人のお客様のことをわかったつもりになりがちです。RightNowによって、お客様を見失ってしまうリスクを最小化することができました。いただいたフィードバックが、サービスやサポート改善に役立てられています。

RightNowは、フィードバックの送信タイミングや内容などを細かく設定することができます。そのため回答率はグループ全体で30 ~ 40%と、高いレベルを維持できています。フリーフォーマットにも役立つご意見をたくさん書いていただいています。現在では、「回答時間」や「満足度」などをグループ共通のフィードバック項目として統一させている一方、他の項目については各事業で自由に設定させています。

サーベイ機能の追加導入によって、RightNowは「サポート業務を効率化させるためのツール」から、「顧客満足を向上させるツール」へと位置づけが進化していきました。その後モバイル機能、チャット機能を順次追加していきました。

使ってみてわかった「モバイル機能」「チャット機能」の価値

まずモバイル機能から説明します。モバイルでの楽天の利用は毎年着実に増えています。特に買い物系については6割くらいがモバイルからのご利用になっています。

モバイル機能を使っていて感じたことは、モバイルでのお客様対応にはWeb以上に「即時性」が求められるということです。移動時間や昼休みなど限られた時間の中で買い物を完結させるために、できるだけ早く疑問を解消されたいのだと思います。自己解決するためのセルフサービスの充実は、顧客満足に強く影響していると考えます。

RightNowでは、Web用に既に構築してあるナレッジベースをそのままモバイルでも共用できます。操作方法等のモバイル独自のQ&Aを新規追加するだけで、あまり時間をかけずにモバイルセルフサービスを立ち上げることができました。

チャット機能は、海外販売(海外の方が日本の楽天市場で買い物をされる)で試験的に導入を行いました。立ち上げは非常に楽で、1 ~ 2週間でチャットサポートをリリースさせることができました。現在、中国語でのチャットサポートを行っています。

実際にチャットサポートをお客様に提供してみて感じた事をお話しします。

まず、海外では一般的だという話は聞いていましたが、実際にお客様は抵抗無くチャットでのやり取りをされていました。そして、スタッフ1人で複数のお客様に対応でき、口頭説明ではなく参照リンクを貼付けるといった対応が可能なチャットサポートは、サポート業務を大幅に効率化できることがわかりました。加えて、まだ十分な検証はできていませんが、チャットサポートを受けた人の購入確率は想定していたよりも高いこともわかりました。

一方で、想定していなかった事象も確認できました。1つの疑問が解決したとしても、しばらく間を置いて「そういえばこれも知りたい」と別の質問をされるなど、お客様お一人の対応が完了するまでに時間がかかってしまうケースがありました。こちらから解決を確認し、チャットをクローズさせるといったオペレーション上のルールを決めておく必要があることがわかりました。

RightNow CX のさらなる活用~国際化、情報連携、ソーシャルメディア対応

まず確実に進めて行きたいのが、これまでRightNowCXを用いて培ってきた顧客サポートノウハウの「国際化」です。現在楽天グループでは急速な海外展開を推し進めています。顧客サポート分野のソフトウェア/システムの中で、33カ国語をカバーしているのはRightNow CXだけです。楽天グループにとって強力な武器になると思っています。

また、会員情報データとの連携も検討しています。「あるステータスの会員には、このレベルのサポートサービスを提供する」といったことが可能になれば、ロイヤリティの向上、会員ランクを利用した分析や打ち手の幅が一気に広がると思います。

新たなチャレンジとしては、ソーシャルメディア対応です。RightNow CXのクラウドモニタを使えば、インターネット上の様々なコミュニティでの「楽天についての会話」をとらえ、既に活用している機能と連携させることで「お客様の声」を一元管理することができます。直接は寄せられない声を理解し、積極的にサポートすることで、より多くのサービス改善のヒントが得られるのではないかと考えています。

RightNow へのメッセージ

全ての機能に共通して、RightNow CXはルール設定などの細かい所まで配慮が行き届いているのが良い所だと思います。とことん「より良い状態」を追求する楽天グループのカルチャーにも合っていると思います。

繰り返しになりますが、RightNow CXは、楽天グループにとって「顧客満足を高めるPDCAサイクルを回すエンジン」です。これからもアドバイスやご支援をいただきながら、"オペレーショナル・エクセレンス"と"顧客満足の最大化"の両立を追求していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

お忙しい中、ありがとうございました。

※楽天株式会社のWebサイト http://corp.rakuten.co.jp/
※取材日時:2010年7月

RightNowの導入をお考えのお客様へ

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